平成30年2月上旬。過去、類を見ない規模の災害が町を襲いました。北海道南部を襲った豪雪。この豪雪によって新ひだかの第一次産業を支える農業は大きな被害をもたらしました。
中でも、ミニトマトや花きを栽培するビニールハウスは、積もった雪の重みで約400棟が倒壊するなど甚大な被害を受けました。
新規就農者の宮里さんも被害を受けた多くの農家の中の一人です。2年前に町の農業研修を終え、ミニトマト農家として就農しました。就農して2年目の冬が終わり、新たな春に向けての準備をしていた矢先、大雪災害によってビニールハウスの殆どが倒壊しました。当時の心境について語っていただきました。
「第一に思うのは、“まさか”という気持ちです。先輩農家の方々も“まさかこんなに雪が降るとは思わなかった”と言っていました。この町に来た時から雪の少ない町だと思っていたので、過信していたのかなと思います。」
大雪によってここまで被害を受けるとは予想していなかった宮里さん。しかし、先輩農家や同時期に就農した仲間たち、JA職員といった多くの人たちの支えと励ましがありました。
「倒壊したハウスを家族とパートさんだけで全て復旧するとなると、どれだけかかるか見通しがつかない状況でしたので、様々なご支援をいただけたことに関して“ありがたい”の一言に尽きます。中でも、農協の方や役場の方に最初に除雪作業に入ってもらい、ボランティアの方々にも廃材等の撤去作業に入っていただき、とても有り難かったです。人の温かみというものを感じましたね。」
倒壊したハウスの撤去作業を行う様子。ほとんどのハウスが雪の重みで倒壊しました。
「遠方にいる親戚や友人から“頑張れ!”という言葉を多くいただきました。印象に残っているのが、災害の関係でテレビの取材を受けたのですが、それを見た道内の農業関係の会社から応援のメッセージをいただいたことです。」
今後については、「雪害からの復旧作業に時間を割いたため、夏収穫の一作目については諦め、秋に収穫する二作目のために力を入れて、何とか生活できる状態まで持っていきたい」と話します。
「せっかくハウスも新しくなったので葉物野菜の栽培にも今まで以上に力を入れていきたいですね。」と前向きな展望を語ってくれました。
宮里さんの圃場にて。復旧した立派なビニールハウスが立ち並んでいました。
新規就農者として地域からの期待も大きいかと思うのですが、との問いに
「期待されているんでしょうか(笑)自分では期待をかけられているとは思ってはいないんですけど、あるがままにこれからやっていこうという気持ちではあります。」
雪害後に定植された初めての苗。秋、実りを迎えます。
本人は謙遜しているが、やはり地域のこれからを担っていく青年農業者として期待は大きい。
「あとは今回の雪害のようなことで、困っている人が現れた時は今度は自分が手助けできることがあれば力になってあげたいなと思っています。」
そう語る宮里さんからは、悲観的な雰囲気は一切ありません。今後を見据える強い眼差しが、ハウスの復旧後に初めて定植されたミニトマトの苗を見つめていました。
<取材日 平成30年 7月20日>
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